玄録

玄録は、秀玄舎の事例を通した、
実践研究の成果をご報告する不定更新の
ビジネスレポートです。

IT投資展望

VFIの形態

2004.04.22

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 では実際に、VFI(Vendor Finance Initiative:ベンダー投資によるユーザシステムの構築)はどのように運用されているでしょうか。
とある企業の物流システム構築におけるVFIの例をご紹介しましょう。

 従来の投資モデルにおいては、ユーザー側が大枠の投資予算とシステム化の目標を設定し、複数のITベンダーから提案を受け付けることでプロジェクトがスタートします。
複数社からの提案を同じ評価基準で評価するために、RFP(Request For Proposal:提案要件書)を定義する場合も増えています。 ITベンダー側は、提示された要件をもとに、自社のノウハウや事例から、予算に見合うシステムを提案します。ユーザー側は複数の提案の内容・費用を比較して、最も優れたITベンダーを選定することになります。

物流システムの事例を見ると、RFPの内容はシステムに必要な機能及びユーザ側の予定業務フロー、あるいは外部システムとの接続図 ということになります。
ここで問題になるのは、実際にシステムを利用するユーザー側にはシステムを評価するノウハウが十分ではないことです。
そこで最近では、ITベンダー選定を専門とするために独立したコンサルタントを利用するユーザーも増えており、秀玄舎は設立当初よりそうしたご相談を数多く受けてまいりました。

 コンサルタントの客観的な評価は、ITベンダー選定とコストの最適化に十分に寄与しますが、IT投資の本質的な課題= 「巨額の投資成果が、構築した後にしか評価できない= ユーザー側のリスクは余りにも大きい」 を解決することができません。 VFIはこの本質的な課題に対する効果的な対処になりえます。

 VFIにおける投資モデルでは、ユーザー側はRFPとしてシステムの機能や業務フローを提示する必要はありません。 提示に必要なのは、ユーザー業務用語で書かれた、システムの性能です。
物流企業を例にとれば、月間の物流量、各アイテムの納期目標や在庫水準目標、欠品率や歩留まり率などです。しいてIT用語が登場するとしたらシステムがダウンした場合のリカバリ時間といった程度です。 それらの性能に必要なシステムの機能や仕様を検討し、投資するのは提案するITベンダー側になります。

 公共事業におけるPFI同様、VFIは事業全体のコストを押し上げる可能性があります。ITベンダー側は、これまで計算していなかったリスクをコストとして計算するかもしれません。また、数値化可能な評価指標を新たに設計する必要があり、これは高度なスキルを必要とします。VFIに移行することで、事業価値を高めるためには必要な条件があると言えるでしょう。