玄録

玄録は、秀玄舎の事例を通した、
実践研究の成果をご報告する不定更新の
ビジネスレポートです。

KM展望-前編:KM実践の課題

KMシステムの決定版

2004.05.13

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 ナレッジマネジメント(以下、KM)の必要性についてはここ10年で多くが語られ一部成功例も出てきましたが、その成功はまだまだ一部のものと呼ばざるを得ません。90年代後半から、ソフトウェアベンダーによって各種KMシステムが開発され、これを導入する企業も少なくありませんでしたが、その多くは失敗と言わざるを得ないものでした。
主な原因には、
・KMシステムの決定版が出現していないこと
・人的要因を無視したKMの導入が行われていることにあります。

1.KMシステムの決定版が出現していないこと
現在存在しているKMシステムは、システムで扱う内容で以下の三種に分類が可能です。
・文書管理系
・情報共有系
・QA系

(1)文書管理系
文書管理を出発点としたKMシステムでは、主に日々の業務で生成されるドキュメントを元に情報共有を行うものです。利点としては、過去の資産を再利用するプラットフォームになることがあげられます。しかし、ドキュメント(いわゆる形式知)を主に取り扱うシステムのため、このシステムだけでは暗黙知を含めた取り組みを実現できません。また、そもそもドキュメントの登録自体に抵抗を感じるユーザが多く、システム自体の運用も難しいという課題があります。

(2)情報共有系
例としてイントラネット上の情報サイトがあげられます。利点としては、誰もが必ず知っていなければならないものを配信する手段としては有効であることです。しかし課題として、どのような人をターゲットにしているのかや、何に使えるのかが示されていなければ、単なるお知らせに終ってしまうことや、これらを細かく示すに方法が明確にならない、また示されたとして関係のない人にも見せることになってしまうことがあげられます。

(3)QA系
主にユーザの相互扶助に期待したシステムです。利点としては、困ったこととその回答を蓄積することにより、過去事例が自然に蓄積されることです。しかし、質問を行う人にはなにを聞けば解決するのか、またなんと質問してよいのか(なんというキーワードで過去QA履歴を検索するか)すらも分からないという問題があります。また、業務で生み出された文書との連携も現在のところ機能的に貧弱です。 

上記のように、各システムには一長一短な部分があります。これが決定版と呼ばれるKMシステムが生まれない理由になります。が、裏を返すと、KMシステムを導入する組織のKM戦略から、どんなアプローチをとるのが決めていないためにKMシステムの機能に一喜一憂してしまっている点が本当の原因といえます。システムありきでKMをすすめると、組織とKMシステムのフィッティングは困難になります。弊社調査によるとKMシステムの導入自体で頓挫しているケースが非常に多く、「忙しすぎて、入力している暇などない」「だいたい入力してなんの役に立つんだ?」という声が数多く聞かれます。すでにこの時点でユーザに見放され、KMの導入は頓挫しているわけです。そもそもKMシステムの決定版などは存在しないのです。