KM展望-前編:KM実践の課題
人的要因の無視
前回は、KMシステムの決定版は存在しないことを述べました。
ユーザのいわば性善説に基づいたナレッジの提供の失敗の原因は人的要因の無視にあります。
2. 人的要因を無視したKMの導入が行われていること
システムを利用したナレッジの伝達は、現在のところ形式知を形式知をして伝える部分までしかサポートしていません。KMを導入するうえで、形式知の伝達は必要なことですし、形式知の伝達という一番分かりやすい部分からはじめることから、ユーザの支持も得られやすいという利点もあります。
ところが、人的要因を無視したKMの導入がうまくいかない理由は、ユーザが求めている「必要な人に、必要な時に、必要なナレッジ」が伝達されることが、そもそも考慮されていない部分にあります。
・「必要な人に」
(狭義の情報共有においては)例えば営業担当にとって最新技術動向や事例は必要でも、もっと細かい実装方法やライブラリ群の特徴は必要ありません。
・「必要な時に」
必要な時を判断するのはユーザです。必要となったときににシステムに何らかのナッジがなければ、システムは役に立ちません。また、システムにはすぐにナレッジにたどり着く仕組みがなければなりません。
・「必要なナレッジ」
ナレッジは量も必要ですが、それに加えて質も重要です。システムは「情報の洪水が起こっているの中から必要なナレッジにユーザをナビゲートする必要があります。