玄録

玄録は、秀玄舎の事例を通した、
実践研究の成果をご報告する不定更新の
ビジネスレポートです。

KM展望-前編:KM実践の課題

暗黙知のハンドリング

2004.05.13

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 形式知の伝達にのみによるKMは付加価値を獲得するという部分に関してはあまり期待できません。

 KMが流行した頃に経営層が期待した効果は、単なる情報共有に終わらない、付加価値を創造する情報=知識のハンドリングすることによる競争力の維持・強化でした。しかし、前2回でご報告したように、KMへの取組みは今のところ単なる情報共有の域を出ていません。KMへの期待と、実践されているKMとの乖離 これがKM失敗の最大の理由です。

 KMの目的は、付加価値を創造し競争力を強化することにありますが、情報共有(ここでは形式知の伝達を指す)では、競争力を強化するというKMの期待効果を達成することが困難です。KMの目的を「競争力の強化」とするならば、暗黙知のハンドリングに取り組まなければなりません。

 しかし暗黙知のハンドリングは、対象(=暗黙知)の性格上とても困難です。例えば(暗黙知を説明する例としてよく取り上げられる)「どのようにして自転車に乗れるようになったか」を組織で共有するのはとても困難です。多少のアドバイスは可能ですが、結局は自転車に乗る人の体に染み付いた知識だからです。暗黙知を伝達には、伝える側からの適切なアドバイス(直接解決に結びつかないが、方向付けをするメタファ)と、伝えられる側の試行錯誤による体得が必要となります。この2つがあればよいことは分かりますが、適切なアドバイス自体の創出と試行錯誤には時間とコストがかかります。

 失敗事例を積み重ねた日本国内のKMは、この困難な問題に取り組む方向に向かうと考えられます。