玄録

玄録は、秀玄舎の事例を通した、
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ビジネスレポートです。

KM展望-後編:暗黙知のハンドリング

ナレッジワーカーを支援する環境:CAKM

2004.08.06

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暗黙知をハンドリングするために必要なことは、KMシステム構築ではなく、暗黙知のハンドラー=ナレッジワーカーを定義することです。組織に必要なナレッジワーカーを定義することで、ナレッジワーカーに必要なオフィス環境や制度(評価制度など)の整備を計画的にすすめることができます。そうした取組みが、真に組織の知識資産を維持・強化する、ナレッジマネジメントそのもなのです。

それでは、コンピューターシステムはKMと無関係なのでしょうか?そうではありません。そうしたナレジワーカーを支援する目的で、ITは強力なツールになり得ます。

そのようなコンピューター利用の設計方針を、CAKM=Computer Aided Knowledge Management と呼んでいます。CAKMは、知識資産を管理するためのシステムではなく、ナレッジワーカーが暗黙知をハンドリングする際に、その知識流通のプラットフォームとなる環境全般を対象としたシステムです。

ナレッジワーカーが扱う知識資産のうち、形式知化できる部分については、コンピューターで管理することができます。膨大情報の取扱はコンピューターが威力を発揮する分野です。文書の管理や検索システムは、その代表例です。

しかし暗黙知は目に見えない形で存在・流通するため、フェイス・トゥー・フェイスでの伝達が必要になります(暗黙知の伝達で最も効果的なのはOJTです)。さらに目に見えないものを伝達するためには十分な時間と効果的な機会が必要なため、社員にとっては大変負担になることは容易に想像することができます。

例えば、n人の組織内全員と知識伝達しあうことを想定すると、少なくとも2(n-1)回この伝達が必要となります。さらにこの伝達回数が増えると解釈のされ方の数自体も膨れ上がり、その効果や状態を管理することはもはや不可能です。CAKMの設計では、そうした暗黙知の特性を把握した上で、「可視化管理対象ではなく、流通促進対象としての知識資産」と割り切ってシステム機能の検討を行います。

【 知識流通プラットフォーム : CAKM】

知識流通プラットフォーム:CAKMは、人にしかできないこと、システムにしかできないことを明確にし、それぞれが関連しあうことで知識流通を図ろうとするものです。

重要な視点としては、「知識部」と呼ばれる知識の伝達・加工・創造・集積を専門とする人員あるいは組織上の機能を用意することです。知識部を作ることにより、知識のフィルタリング、知識伝達の時間コスト削減、濃度の高い知識集積が可能になると考えられます。