CIOとIT部門
IT部門への不満:コストパフォーマンス(維持費の効果)
トップマネジメントや現業部門から寄せられるIT部門に対する不満の声のほとんどは、
①コストパフォーマンスが低い(金がかかり過ぎではないか)
②保守的である
の2点に集中します。
第①の指摘については主に経営層から、第②点の指摘については主に現業部門から寄せられます。情報システム部門の社員や部門長の人間的資質によるところを除き、これら不満には、伝統的な理由があります。
①コストパフォーマンスが低い
IT投資のコストパフォーマンスは、様々な理由で低く評価されがちです。大きな要因は以下の2つにあるでしょう。
①-1:システムを維持するコストにはプラスの効果が無い
情報システムは、いったん構築してしまった後でも、ハードウェアであれソフトウェアであれ、莫大な維持費を必要とします。資産償却の5年レンジで見れば、構築にかかった費用に匹敵する維持費がかかるケースもあります。それは、障害対応のための保守費(保険)であったり、継続的に機能強化するための定常的な開発コストであったりします。
弊社の調査では、年商が300億円以上の中堅規模以上の企業において、こうしたシステム維持コストは、ITコスト全体の30%~40%に相当します。
ところがこうした維持にかかる費用は、経営や現業にとって明確なメリットを印象づける効果がありません。コストをかけ続けても、何も変化がおきないからです。
次回は、コストパフォーマンスが低いと評価されるさらなる要因「コスト構造」「効果測定」についてご報告します。