玄録

玄録は、秀玄舎の事例を通した、
実践研究の成果をご報告する不定更新の
ビジネスレポートです。

CIOとIT部門

IT部門への不満:コストパフォーマンス(コスト構造)

2005.01.31

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IT部門に対するコストパフォーマンスに関する不満は、前回でご報告した「維持費は変化をもたらさない」こと以外に、「コスト構造が不透明」「効果測定が困難」という大きな2つ要因にも起因します。

まず、コスト構造について。

IT投資のコストは、主にハードウェア・ソフトウェア・人件費に分類されます。

ハードウェアコストはコンピューター本体にまつわるコストで、ワークステーションやサーバー、 PCやストレージに係るコスト全般をさします。ハードウェアはシステムの性能面に主に影響し、サービスレベル(システムのスピードや可用性)を左右します。技術革新のスピードが早いため、対性能比で言うところのコストパフォーマンスは過去20年で飛躍的に高まっています。

ところが、多くのユーザーにとってPCのコスト低下が身近に感じられる近年、以前として数百万円~数千万円というハードウェアのコストは、「不当に高額」であるという印象を与えます。業務のIT化がすすみ、システムがクリティカルであればあるほど、ハードウェアのコストは高くなりますが、その相関関係について十分に説明できるIT担当者は極めて稀だと言えるでしょう。

ハードウェアのコスト構造の不透明さは、ハードウェアコストに影響する、データ処理量の増加や業務上の重要性の増加を定量的に説明する方法論が存在しないことが原因です。

ソフトウェアのコスト構造は、ハードウェアコストよりはるかに不透明です。ソフトウェアはデジタルな製品であるため、厳密な意味で製造原価は存在しません。ソフトウェアの価格は、開発にかかったコストを販売予定本数で割った数字をもとに算出されています。例えば、開発に1000万円かかったソフトでも、100本販売できると計画すれば、1本あたり10万円~で販売することができますが、5本しか販売できないと計画すれば、1本あたりは200万円~になります。つまり、ソフトウェアの価格はあってないようなものです。同じような機能にも関わらず市場価格に大きなバラつきがあるのはそのためです。

人件費のコスト構造は、システム構築に関わるコストが時給換算されていることで不透明さをつくりだします。人件費を時給で換算することは、一見非常に透明なようですが、成果との関係がわかりにくく、パフォーマンスは会社や個人のスキルに依存します。

(例⇒玄録 第24回~第27回)

以上のように、IT投資のコスト構造は、その構成要素のどれひとつをとっても、明確にコストパフォーマンスを測ることができないものばかりです。業界の専門家でも説明できないものについて、現業部門の理解は期待できないでしょう。

次回は、コストパフォーマンスに関する不満の3つ目の要因である効果測定についてご報告します。