玄録

玄録は、秀玄舎の事例を通した、
実践研究の成果をご報告する不定更新の
ビジネスレポートです。

CIOとIT部門

IT部門への不満:コストパフォーマンス(効果測定)

2005.02.07

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多額のIT投資にも関わらず、現業に目立った効果があらわれない。こうしたコストパフォーマンスに対する不満の最大の要因は、効果測定の困難さにあります。

その「困難」は、目標設定が不完全であることと、対象となる「効果」そのものとITとの関係が希薄であることに起因します。

現業部門がIT投資に期待する対象は様々ですが、多くのITプロジェクトにおいてその目標が全社で共有されている例は意外なほど稀で、そこに数値目標が設定されていることはほとんどありません。

秀玄舎のコンサルティングチームによるIT投資最適化プロジェクトの事例では、3億円ものIT投資プロジェクトにおいて、当初の投資稟議書に書かれている投資目的と、プロジェクト完了報告に書た投資効果が全く異なったまま何の問題視もされていない事例が存在しました。

多くのIT投資プロジェクトにおいて、何をもってパフォーマンスを評価するのか、という共通合意は存在しないのが現実です。

目標を共有するためには、定量化した目標指数を事前に設定・周知することが効果的に思われますが、ここにも難しい問題があります。

ほぼ全てのIT投資プロジェクトにおいて、その効果はITだけでは達成できないからです。どんなに性能のよい自転車でも乗る人によって全く速度が異なるように、IT投資の効果の多くはその利用者の利用方法に依存します。

より優れたIT投資効果を期待するならば、優れたIT技術を採用することよりも、IT部門と現業部門とのコミュニケーションを重視すべきである と言われるのはこうした要因です。

ところが、IT投資の効果責任をIT部門にばかり期待してしまうと多くの場合において「コストパフォーマンスが低い」ととらえられてしまいがちなのです。

近年ではそうした反省点に基づいて、IT投資効果の評価を、IT投資単体の評価ではなく、総合的な経営目標と連携して総合評価しようとする試みが増えています。バランススコアカード (Balances Score Card)の応用などがそうした試みの例なのですが、こうした効果測定に関する試みについては別の報告に委ねることにします。

[図:コストパフォーマンスに対する不満の構造]

次回第31回は、コストパフォーマンスに並ぶIT部門に対する不満要素である「保守的」姿勢について、ご報告します。