玄録

玄録は、秀玄舎の事例を通した、
実践研究の成果をご報告する不定更新の
ビジネスレポートです。

CIOとIT部門

CIOの役割・機能(前編)

2005.03.22

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 前回までに、経営層や現業部門から寄せられるIT部門への不満の多くが、「コストパフォーマンスが低い」「保守的」であること、その本質的な課題が、IT部門に要求される複数の機能に対して、部門内のノウハウや部門に対する評価体系が追いついていないことにあることをご報告しました。

 こうした課題は一朝一夕に解決するものではなく、長期的な対処が必要になります。

 IT部門は、2つの新しい機能要求=「経営企画部門的機能」「情報・知識管理機能」に対して、ノウハウと人材を確保するよう改革をすすめるべきです。現業部門との人材の交流や、物理的な部署の配置を変革(現業部門と同席する等)の検討をはじめるとよいでしょう。

 こうした組織的、制度的な改革を進めるのであれば、社内でリーダーシップをとってIT戦略を推進する「機能」を設置すると効果的です。多くの企業では、そうした機能を”CIO”と呼んでいます。

 CIOの機能、あるいは組織的ポジションについて明確な定義はありませんが、従来のIT責任者が経営に参画するようになった といった程度の認識が一般的なようです。

 CEOを補佐するIT参謀のようなポジションで、IT部門とは全く独立したCIOを設置する企業も少なくありません。

 CIOをIT部門出身者にするのか、非IT部門出身者にするのか、IT部門の上にCIOを設置するのか、IT部門とは独立した組織としてCIOを設置するのか、企業によってCIO設置の手法は様々です。重要なことは手法ではなく「IT部門への要求を充足する」という目的ですから、「これが正解」という手法は無いでしょう。

 本レポートでは、CIOの設置を検討する際の一助とするために、必要なCIOの役割・機能を整理していきます。

 CIOの設置を検討する際に必要なことは、現状の組織においてどのような機能が不足しているかを明らかにすることです。もし現状の組織形態のままで、経営とITとの戦略が効率的に運用されているのであれば、新たにCIO機能を設置する必要はないかもしれません。

 本シリーズでご報告したような、経営層や現業部門からIT部門への不満や課題が組織内に存在するようであれば、CIOの設置は実践的で効果的な対処法になりえるでしょう。

 現状の組織に、どのような機能が不足しているかを明らかにするためには、客観的な視点が必要になるため社外・第三者の監査が有効です。第三者の監査に抵抗があるのであれば、IT部門と現業部門による共同調査などを実施するのもよいでしょう。

 IT部門が経営企画部門的機能をどこまで充足しているか、経営層に対するITをベースにした意思決定をどこまでサポートしているかなどを評価することができれば、自然とCIOの必要性やCIOに求められる機能・人材像が見えてくるはずです。

 次回は、CIOの役割・機能について具体的な整理を試みます。