玄録

玄録は、秀玄舎の事例を通した、
実践研究の成果をご報告する不定更新の
ビジネスレポートです。

デジタル世代交代「発信者世代」

(後編)

2005.05.09

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 現象の善し悪しは別にして、インターネットの普及が社会に及ぼしつつある大きな影響として、発信者の裾野の広がりと、匿名性社会の確立 を上げることができます。

 発信者の裾野の広がりは、ユビキタス社会と言い換えることもできます。ブログやRSSといった、比較的シンプルな技術に支えられたデジタル・ネットワーク上の発信者文化の爆発的な拡大は、今後の社会的概念形成に大きく関与するだろうことが予想されます。

 そうした文化に慣れ親しんだ若者達による企業内の世代交代は企業に何をもたらすでしょうか。

 これまで部門単位でクローズしていた情報はデジタル・ネットワーク上で共有されることになります。問題解決はこれまでよりもネットワーク上で行われる機会が増えるかもしれません。こうした変化は、前向きな変化と言えるでしょう。マネジメント層としてはこうしたデジタル・ネットワーク上でのコミュニケーションに注意を払い、その現象を観察・理解するべきです。

 情報共有の質・量や問題解決のプロセスは組織の競争力を大きく左右します。もし能動的に競争力を強化しようと考えるなら、こうしたデジタル・ネットワーク上のコミュニケーション(情報共有や問題解決)を上手にコントロールすることを計画すべきです。

 後ろ向きな影響も予想されます。デジタル・ネットワーク上の情報のやりとりはコントロールが困難であるという特徴をもっています。部門単位での情報の制限は難しくなるかもしれません。情報の質も玉石混交なものとなるでしょう。

 社内の世論形成はマネジント層にとって予想しにくくなるでしょう。マネジメント層が計画していない課題の解決が要求されるようになるかもしれません。

 また、重要な情報が流通することについても警戒が必要です。多くの顧客情報は、取り扱いに注意されるべきですが、そうした情報がデジタル・ネットワーク上で適切に扱われるように注意しなければなりません。不正な(あるいは不正かどうか際どい)商行為について、情報の伝達が早くなるかもしれません。コンプライアンスに対する配慮、特に問題発生後の対処のスピードが重要になります。

 ユビキタスな社会の到来は、様々なソフト面での変化を組織にもたらす可能性があります。こうした「変化」は、デジタル・ネットワークに親和性の高い、若い世代の比率が高まることによって本格的に表面化します。これまでは技術的な面が先行してきたために、あまり大きなインパクトを残さなかったネットワーク社会の実現は、これから数年のうちに組織文化に対して大きな影響を及ぼすことになるでしょう。

 より前向きな変化を享受すべく、慎重な計画をはじめる時が来ています。