玄録

玄録は、秀玄舎の事例を通した、
実践研究の成果をご報告する不定更新の
ビジネスレポートです。

知識共有と組織構造について

KM施策としての組織構成(前編)

2005.06.06

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 同じ部署間では知識共有がスムーズに行われ、部署の垣根を越えた情報共有は効率が落ちる。この事実はとても当たり前なゆえに、KMを実践するうえでとても有効な手段です。自社の競争力がどの分野にあるのか、あるいはどの分野で勝負していくのか といった知識戦略上の課題に最も明確に応えてくれるからです。

 一般的に、業務分野と製品分野はマトリクスな関係にあります。(先述のS社とB社のように)垂直的な組織構造にしようとした場合、A社のように業務分野ごとで構成するのか、B 社のように製品(技術)分野ごとに構成するのか、といった判断をしなければならないでしょうか。

 答えは、yes でもあり no でもあります。たしかに職制上ではどちらかを選択しなければなりませんが、どちらかを選択した後に、他方をカバーするような施策を検討することができます。

 A社では、全ての事業部に共通していた「品質検査」の業務分野だけを「品質管理部」として独立させ、知識の集約を図りました。 この試みは、なかば成功し、そして半ば失敗しました。マトリクス関係にある知識分野で、実際の職制ではないほうの知識軸(B社における「業務分野」)を、共通の支援組織として独立させるという手段は確かに有効です。 しかし、そうした施策を実行する場合、経費の配布や実績の評価について入念な設計が不可欠です。

 一般に評価制度は既存の職制を前提に作られています。 ですから、マトリクスで異なる軸の組織を構成してしまうと、既存の組織との間で衝突が生じてしまうのです。その衝突は、ちょうどシェアードサービスを外販してプロフィットセンター化しようとする試みと似ています。