玄録

玄録は、秀玄舎の事例を通した、
実践研究の成果をご報告する不定更新の
ビジネスレポートです。

知識共有と組織構造について

KM施策としての組織構成(後編)

2005.06.13

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 こうした部分的なマトリクス対策は、できればゆるやかで仮想であることが理想だと考えられます。重要なことは、会社として優先すべきは、より高い収益や効率・生産性であるべきなので、そこに部署の成績や評価 という2次的な要素をできるだけからめないほうがよい ということです。B社の例をとれば、品質管理に関する仮想の、それでいて半永続的なプロジェクトを事業部横断で構成すべきでしょう。 そのことで、品質管理に関するノウハウの流通と均質化が図れると同時に、そのプロジェクトに属する事業部員にとっても、そこでの活動が本属の事業部での評価に直結することができます。

 こうした仮想のプロジェクトといったとりくみには、その取り組みを支援する組織が必要です。 仮想プロジェクトでの活動評価を本属の事業部に還元したり、どのような分野で仮想のプロジェクトが有効なのか、社内外の環境を調査して判断することが重要だからです。こうしたミッションは、これまで経営企画室や社長室といった部署が担ってきましたが、知識資産にフォーカスするならば、CKOや知識部を設置する、あるいは既存の情報システム部や人事部・ 経営企画室に、新しく明確なミッションとして与えられるべきでしょう。部門横断のプロジェクト間での情報を全社で共有する、あるいは知識部(のような機能)が社内外の知識環境をモニタリングするために、コンピュータシステムは有効な手段です。


 本レポートでは、業務分野と製品分野という二つの軸をマトリクスとして例出しましたが、実際のビジネス環境にはもっと多様な軸が存在しています。 B to B 企業であれば顧客業種や規模、B to C 企業であればチャネルや地域といった軸が存在します。いずれにせよ21世紀のビジネス環境において、現場の知識(ノウハウ)は競争力の直接的な源泉としてますますその比重を高めることになるでしょう。 戦略的・意図的に知識資産をコントロールするうえで、組織構成はまずはじめに着目すべき重要なポイントとなります。