玄録

玄録は、秀玄舎の事例を通した、
実践研究の成果をご報告する不定更新の
ビジネスレポートです。

トラブルを未然に防ぐRFP-前編

RFP活用のメリット

2005.07.04

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 前回、ベンダー選定における、RFPの有用性について軽く触れましたが、今回はもう少し突っ込んだ形でRFPのメリットについてレポートしましょう。(RFPの進行プロセス、RFPの内容、作成方法などについては、次回以降でレポートします)

 RFPを使用してベンダーに提案を依頼する際における、大きなメリットは、だいたい以下の3点に集約されます。
(1)ユーザは、複数のベンダーへの依頼内容を正確に伝えることができる
(2)ユーザは、複数のベンダーから統一した提案、見積もりを受け取れ、選定が効率的になる
(3)ユーザは、ベンダーと提案段階で調達・契約条件等の認識合わせができる

(1)ユーザは、ベンダーへの依頼内容を正確に伝えることができる

 RFPを作成することにより、ベンダーへ依頼したい内容(要件)を事前に整理する機会を得ることになります。その成果として、ベンダーへ自分たちの要求する(よく検討された)要件を正確に伝えることにつながります。

 ユーザは、提案依頼をする前に、システムを構築する目的、システム構築におけるユーザ側で必要とされるスキル、要件の整理、社内での意識統一、そしてあいまいな要件のだとを事前に把握する必要があります。これを怠ると、自分たちの思いがベンダーへ伝わらずに、良い提案を受け取ることができないばかりでなく、プロジェクト発足後も後手後手の検討に追われることになります。

 実装したいシステムの要件がまとまっていない状態のままで、提案を依頼すれば、ベンダー側は、不明確な部分に対して、あいまいな提案、及びリスクを上乗せした見積もりを提示する傾向にあります。

 また、要件があいまいな状態で開発が進むと、必要な要件が実装されていなかったり、違った動きをするなどといったことが発覚し、プロジェクトが大幅に後退する原因となってしまいます。

 RFP作成の段階でどうしても「あいまい」な要件となってしまう場合があります。その際の対応方法については、次回以降のRFPの作成方法のレポートにて報告します。

 RFPの作成は、非常にパワーを必要とする作業なために、避けられがちではありますが、開発が進んだ後での手戻り(スケジュール遅延、コスト増)に比べれば、労力ははるかに少なくてすみます。

(2)ユーザは、複数のベンダーから統一した提案、見積もりを受け取れ、選定が効率的になる

 RFPを作成した後、次のステップは、ベンダーに対して作成したRFPを提示(提案を依頼)することです。ユーザは、複数ベンダーへRFPを提示し、その結果としてベンダーから提案、見積もりを受け取ります。

 提示するベンダー全てに同じRFPを出すので、同じ要求に対しての提案を受け取ることができます。また、見積もりに対しても各ベンダー統一した形で受け取ることができます。

 提案、見積もりを統一形式で受け取れることにより、それぞれの提案が比較可能になります。同じ基準で比較してはじめて、それぞれれのベンダーの特色、力量を測る材料としてにすることができます。要求した内容に対してよりよい提案をしている部分があれば目立ちますし、要求以外のプラスαとして提案をしている部分などは、プラス評価の対象とできます。

 また、見積もりも同様の要件に対して提示されてくるので、単純に価格だけを比較することができるようになります。項目ごとに価格が高い部分、低い部分での比較ができます。(価格交渉の際の材料とすることも可能です)

 RFPを使用せずに、多くのベンダーに提案や見積もり依頼を実施すると、かなりの可能性でベンダー毎にレベル感の異なった提案が出てきてしまうことになります。見積もりも、統一感の無い(一式、機能別、工数別など)といった形で提示されるでしょう。これでは、並べてベンダーを判断することはできず、何となくプレゼンのうまい(営業が優秀な)ベンダーを選んでしまったり、短納期、低価格のベンダーを先行して選んでしまうために、後でユーザだけが痛い目にあってしまうのです。

 RFPを使用して、同じ基準・前提の提案、見積もりを受け取ることは非常に大切です。そして、次のステップとして、提案内容を評価し、ベンダーを選定する際にも非常に重要になります。(RFPによるベンダー評価については、次回以降で報告します)

(3)ユーザは、ベンダーと提案段階で調達・契約条件等の認識合わせができる

 後で『言った、言わない』といったことにならないように、RFPにある程度の調達、契約条件を記載しておくと、ベンダーを決定後の契約のタイミングで非常に有用です。口約束や曖昧な発注行為による、開発時や受入れ時の混乱及び紛争を避けることができ、契約上のトラブルを避けることができます。

 ベンダーを時間をかけて選定、決定しても、最終段階で契約条件が受け入れられず、契約調整で必要以上の時間と労力が費やされることは少なくありません。RFPに、そのような調達・契約条件等を事前に盛り込んでおくことにより、提案段階で、契約時に問題となる点を解決した上で、契約フェーズをスムーズに終えることができます。

 今回は、RFPを使用するメリットについてレポートしました。このような、RFPのメリットを得るには、適切なRFPを使用したベンダー選定プロセス、必要十分なRFPの準備が重要なポイントになります。

 次回は、RFPの記載内容に進む前に、RFPを使用してベンダーを選定する際の全体のプロセスについて、レポートします。