玄録

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ビジネスレポートです。

トラブルを未然に防ぐRFP-前編

ベンダー選定プロセスの実行テクニック(前編)

2005.07.20

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 前回、RFPを使用したベンダー選定の6プロセスの全体像を把握しました。そして、RFP活用の最終段階である「ベンダーへの発注」をしっかりと見据えた上でのプロセス実行が重要であり、それぞれのプロセスを如何に効率よく実行できるかが肝であることをレポートしました。

 今回は、ベンダー選定プロセスの前半部分である、

(プロセス1)ベンダー選定における事前準備
(プロセス2)RFPの作成
(プロセス3)ベンダーへRFPの提示

について、ベンダー選定プロセスの具体的な内容、プロセス間の依存関係、そして効率的に実行する上でのテクニックをレポートします。

(プロセス1)ベンダー選定における事前準備

 このプロセスでは、全プロセスにおける実行計画を立てます。

 実際には、多くの時間と人を費やすことができないところですが、ここでの計画は、今後のプロセスに大きく影響を与える、屋台骨となる部分ですので、出来る限り時間をかけて作成します。

<プロセス実行テクニック>

★全プロセスにおけるスケジュールを作成する

 スケジュールは、全プロセスを考慮した形で作成します。全体感を把握でき、現実的な柔軟性のあるスケジュールになります。多くの場合、直近プロセスである“RFPの作成”部分のスケジュールを先行に考えがちです。しかし、必ず最終段階である、「ベンダーとの契約・発注」までを想定したスケジュールを作成します。

 多く見受けられるケースとして、先の計画が立てづらいという理由から、次のプロセスのスケジュールは、前のプロセスの終了段階で作成し、全体でのスケジュールを立てていない場合があります。ベンダー選定のプロセスは、開発が実施されている時点とは異なり、ユーザ側でスケジュールコントロールできるものでありますので、必ず全プロセスのスケジュールを作成することを心がけてください。

★RFPを提示するベンダーをこの時点から探しておく

 ベンダー選定だけでなく、RFPを提示するベンダー自体を見つけることも時間がかかります。RFP作成が完了する段階でRFP提示ベンダーを探すのでは遅く、計画段階から提示するベンダーの目星をつけておくことは、後のRFP提示をスムーズに進めることができます。

 あらかじめ、想定されるベンダーと何らかのコミュニケーションを取っておくことや、事前に RFI(Request For Information)を発行して、気になるパッケージについての情報のやり取りをしておくことも有効です。さらに、この時点のやり取りについても、先行してベンダー評価材料としておくこともできます。(会社の信用調査もこの時点で済ませておくと後で無駄な時間も省けます)

(プロセス2)RFPの作成

 このプロセスでは、RFPの作成を実施します。

 RFPの作成は、適切にスケジュールコントロールをしていないと、気がつくと作成までに過大な時間を費やしてしまう部分です。後のプロセスへの影響が発生する原因になるため、いかに短時間でよりよいRFPを作ることが重要になります。

 ※RFP作成についての詳細については、次回以降でレポートします

<プロセス実行テクニック>

★ベンダー選定/RFP作成における体制の整備

 RFPを作成する前に、関わる人達への協力体制を整備しておくと、効率的にRFPの作成を進めることができます(※)。

 RFPの作成には、RFPを作成する担当部署、その内容に関わる、情報提供やレビューを実施する経営層や関連部署といった多くの人が関わります。(案件内容により関わる部署や人数は変動します)RFP作成がスムーズに行われても、RFPレビューや承認行為を実施する人の時間調整がうまくいかずに時間がかかってしまうということが多く見受けられます。

 ※ベンダー評価、契約といった際にも、経営層や関連部署が関わるケースがあります。この時点から、後のプロセスを見越した体制作りをしておくと、後のプロセスを効率的に進めることができます

(プロセス3)ベンダーへRFPの提示

 このプロセスでは、作成したRFPを対象となるベンダーへ提示します。

 ベンダーへRFPの説明の時間を取り、ベンダーへ全ての思いを伝え、提案の材料を提供できることが、良い提案を受け、良いベンダーを発掘するための重要なポイントとなります。

<プロセス実行テクニック>

★RFP説明会の実施

 案件及びRFPを説明をする場(説明会)を設けます。

 説明会の時間を取って、ベンダーへ思いを伝えます。メールや電話などだけでは、なかなか熱意や思いは伝えられないものです。これをおろそかにしてしまうと、ベンダーへの思いが伝わらないことで、良い提案を受け取れないことにもつながります。

 また、説明会の場では、ベンダー側の反応や意見を確認することができます。ベンダーとコミュニケーションをすることにより、第一印象をここで判断することも可能です(後のベンダー評価材料にも役立ちます)。

 RFPをベンダーへメール送付して提案を依頼することは、楽ではありますが、良い提案を受け取る可能性が低くなりますので、避けるべきです。

★ベンダーからの問合せ体制の整備

 RFP提示後は、ベンダーからの問合せ対応の体制について考えておく必要があります(※1)。ベンダーからの問合せを可能とするのであれば、問合せを受ける窓口/担当者は事前に準備しておく必要があります。(窓口/担当者はRFP内に記載する形が望ましいです)

 また、窓口担当者の負荷をなるべく抑えるためにも、問合せシートや他ベンダーからの質問も公開する仕組み(※2)もRFPをベンダーへ提示するタイミングで用意をしておくとスムーズな対応ができます。

 ※1:案件によっては、一切受け付けさせないという場合もあります
 ※2:ベンダー間での質問公開の実施には、公平/不公平ということになる場合がありますので、事前にルールを決めておく必要があります

次回は、プロセス後半のベンダーを選定していくプロセスを見ていきます。