玄録

玄録は、秀玄舎の事例を通した、
実践研究の成果をご報告する不定更新の
ビジネスレポートです。

IT投資を長期的に効率化する

ITリテラシー向上の効果(前編)

2006.08.07

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 企業におけるIT投資額は、主に年度単位で精査されるため、長期的な施策を時系列的に評価する機会は多くありません。

  ITガナバンスの行き届いた組織では、投資項目ごとの経年変化をチェックし、それぞれの投資効率を改善する活動を実施していますが、これから報告するような分野を重点課題にしている組織はまだ少ないといわざるをえません。

  業務やプロジェクトの遂行にITが深く根ざしつつある現代のビジネス環境において、長期的なIT投資の効率化=IT投資の成果としてのパフォーマンス向上を実現するためには、優れた機能や拡張性、あるいは先端の技術を備えたシステムを構築・導入するよりも、社員一人一人のITリテラシーを高める投資をすることです。

  本レポートでは、ITリテラシを高めることが、どれだけ組織や企業のIT投資パフォーマンスを向上するかについて触れた後に、その方法について解説します。

●ITリテラシー向上の効果-1. “システムの標準化, 機能の単純化”

 個別のシステム設計あるいはシステム導入費用の見積を実施する段階で、最も重要な項目はシステム機能を設計することです。(システム設計には、機能設計のほかに、品質や運用、システム構成などの設計が含まれています。)

  機能を設計する際に、コストに大きく影響するのはユーザーのITスキルです。低いITスキルのユーザーに対しては、多くの例外処理を機能に盛り込む必要が発生し、必然的にコストパフォーマンスは下がります。

  このコストパフォーマンスの低下度合いは、比例ではありません。例外処理機能が活用されるケースは少なく、しかも複雑な設計を必要とする(ケースが多い)ため、比例以上にコストを高めることになってしまいます。

  システムが想定するユーザーのITスキルが高ければ高いほど、システムの機能は標準的なものですみ、コストは低く、さらに拡張性や保守性も高まります。

  多くの機能・処理を有するシステムは、将来的に機能を追加したり改変したりする際に影響する範囲が多くなり、機能追加(改変)コストが高くなって拡張性が低下します。

  複雑な機能・処理を有するシステムは、障害発生時に問題点を絞り込むのが困難なために保守性が低下(保守コストが高くなる)します。

●ITリテラシー向上の効果-2. “データの有効活用”

  現代の企業においては、常に新しいシステムが企画され、構築され、リリースされていきます。1度完成したシステムだけで、何年もの間新しいシステムが必要無くなるといった、平和な状況は稀と言えるでしょう。

  必然的にユーザーは、業務遂行にあたっていくつかのシステムを渡り歩きながら仕事をこなしていくことになります。

  ITリテラシーの高いユーザーは、システム上のデータを上手く活用することができます。どこのシステムにどんなデータが格納されているのか、そのデータはどんな性格(入力時の制限事項や鮮度など)をもっているのかなどを把握しながら、データをまさに「有効」に活用できるようになります。


次回は、ITリテラシー向上の効果についてさらに深く掘り下げていきます。