玄録

玄録は、秀玄舎の事例を通した、
実践研究の成果をご報告する不定更新の
ビジネスレポートです。

IT投資を長期的に効率化する

ITリテラシー向上の効果(後編)

2006.08.21

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 シリーズ14「IT投資を長期的に効率化する」では、ITリテラシー向上が企業(組織)のIT投資パフォーマンス向上に寄与する構造と、その方法論を報告しています。

●ITリテラシー向上の効果-3. “情報系活用”

 ITリテラシー向上の効果において最もわかりやすいのは、この「情報活用効果」でしょう。

 業務の根幹を処理する「基幹系(業務系)」システムと異なり、情報系システムは「それが無くても仕事ができる」という性格上、企画段階で期待していたユーザーの支持を得ることができず、多くのプロジェクトが失敗に終わっているようです。

 こうした問題に対処するために、情報系システムであるにもかかわらず、「この機能を使わないと仕事がすすまないようにすればいい」といったアプローチもある(そうしたアプローチを推奨するような書物や雑誌もある)ようですが、そうしたユーザーに負担を強いるような方法が望ましいとは思えません。

 基幹系における鉄則はあくまで「シンプル」「スピーディ」「正確」であるべきです。

 ITリテラシー向上の効果として、情報を活用することで自身の業務がどのように改善できるのかを具体的にイメージすることで、用意されたツールを自発的に使うようになる「行動様式の変化」を期待することができます。

 リテラシーの高いユーザーは、多少の文句を言いながらも与えられたツールを非常に上手く活用します。

 そして最後は、この「文句」が重要な要素であることについて。

●ITリテラシー向上の効果-4. “ボトムアップ型IT企画”

 ITに対する興味と理解のあるユーザーは、IT投資の企画に公式・非公式に関わるようになります。自身が企画に参加したIT投資に対して、ユーザーは活用の意欲を持つようになります。

 多くのIT企画部門は間接部門であり、現業部門のニーズを正確に把握するには組織構造的な問題を抱えています。ユーザーが各プロジェクトに口出しできるようになることは、こうした問題点に対して小さからぬ良い効果をもたらします。

 正しいIT企画は、現業に対する深い知識と、「ITとは何をしてくれるものなのか」という認識の両方が融合して初めて実現します。

 この難易度の高い融合のために、プロジェクトが現業とIT部門との共同になったり、現業部門出身のCIOを据えたりと、様々な工夫がこらされますが、最も本質的な解決は、1人1人が双方のスキルを高めることです。

 ITリテラシーを高めることによって、現業の業務に本当に効果のあるIT企画が誕生するチャンスは飛躍的に増加し、さらにその質も高まることになります。

  これまでITリテラシー向上の効果について触れましたが、次回から2回に渡って「ITリテラシー向上の方法論」について解説します。