玄録

玄録は、秀玄舎の事例を通した、
実践研究の成果をご報告する不定更新の
ビジネスレポートです。

IT投資を長期的に効率化する

ITリテラシー向上の方法論:正しいアプローチ

2006.09.11

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前回触れた「ラッピング」は技術的には「OSIの7階層モデル」で表現されます。

最下層は物理的な信号としてコンピューターが扱う “0” や “1” といった信号で定義されていて、ユーザーが日頃目にするソフトウェアの画面は最上位の「アプリケーション層」で日常的に定義され続けます。

下層に行けば行くほど標準的で広く活用されています。上位2階層を除く下位5階層は、全世界共通と言えます。

また、下層に行けば行くほど技術は「長寿命」になります。最下層の“0” “1” のルールは、40年前とほぼ変わらない一方で、最上位のアプリケーションは全てのシステムで異なっています。ちょうど中位に位置する第3層~第5層の機能の多くは、OS(WIndowsやLinux)に該当し、マイナーバージョンは年単位で変化しますが大きな技術様式は10年近く変わっていません。

これが何を意味するか というと、つまり上位に対する知識や理解は、使える範囲が狭いうえに、あっ いう間に使えなくなってしまうということです。

IT教育のアプローチは、できるだけ下位に近いところからはじめるべきだと言えます。

重要な知識は、「目の前のボタンの使い方」がわかることではなく、なぜこのボタンを押すと、処理が進むのか、処理が進むとはデータがどこでどのように加工されることなのかを知っていることです。

そうすれば、ボタンの位置や表示の順番などは些細な問題であり、そんなことを議論する時間も、使い勝手を追及するコストも、必要なくなるのです。

階層モデルを参考にした場合、(実際には階層にあわせて教育カリキュラムを組むのは現実的ではない)どの程度のところからはじめるか は、許される期間に依存しますがIT企業でないならば第6層からで十分でしょう。少なくともデータベースとネットワークについて理解しておけば、ほぼあらゆる現代企業のシステム設計にたずさわることができます。

IT関連企業であれば第3層からはじめるべきです。私どもが手がけるトラブルプロジェクトの少なくないトラブル原因には、ITに対する深い知識が欠けていることが関係していることを申し上げておきます。